文学だより

  ― 研究会にゆかりのある研究者の近況や研究報告を随時更新予定です。ー

2022/01/10

胡文海さん

浙江大学 外国語学院 日本語科 副教授

 浙江大学は中国杭州市に位置し、7つのキャンパスを有する中国トップレベルの総合大学です。去年のQSランキングでは世界四十三位で、北京大学と清華大学に次ぎ、中国第三位でした。

 僕は今、浙江大学の外国語学院日本語学科に勤めております。主に日本語、日本古典文学、日本文化、翻訳と通訳などの授業を担当しております。外国語学院は紫金港キャンパスにあり、西湖と西溪湿地という観光地に近いところです。春になると、桜の花が満開し、きれいなところです

2022/01/09

解放さん 

吉林大学外国語学院准教授

 私は、2021年3月に東京外国語大学博士後期課程を修了し、2021年10月から吉林大学で教鞭を取ることとなりました。吉林大学は、雪国の長春という、非常に寒いところに位置しております。冬にはマイナス20度を超えるのが一般的です。歴史的な理由もあって、植民地関連の資料が豊富にあり、私自身の研究においては、かなり便利だと思われます。寒いところですが、冬景色も綺麗なので、ぜひ一度観光でもお越しいただければ幸いです。


2021/6/6

板野みずえさん

群馬県立女子大学 文学部国文学科 講師

みなさんこんにちは。群馬県立女子大学文学部講師の板野みずえと申します。20164月から20193月までの3年間、学振PDとして村尾先生のところでお世話になっておりました。2019年の4月から現在の職につき、現在大学教員3年目です。


1年目はとにかく大学業務を覚えるべく無我夢中で過ごしました。2年目には少しは研究を、と思っていたら折からのコロナウイルスの流行で大学業界全体に嵐が吹き荒れ、遠隔授業の準備に身をすり減らしました。3年目の本年度もまだまだコロナウイルスへの対応で落ち着かないものの、少しずつ日常が戻ってきました。久しぶりに研究に時間を割いていると、調べ物の楽しさ、それを論文にしていく難しさ、全てひっくるめて、そうそうこの感覚だった!と研究者としての自分を取り戻した気分です。


私の研究テーマは中世和歌における叙景表現です。ある風景を描写することで、「心」を表そうとするのは和歌においては定番の方法ですが、「心」を何か別のもので表すということは本来相当困難なことであるはずです。そしてそもそも和歌における「心」とは何なのか。また和歌の研究において「心」は「景」と対置されるのが通例だが、この二つは本当に対になりうるのか。和歌にとって、風景とは何か。我ながら随分壮大な問題設定で、和歌という文芸そのものの根幹にも関わる大問題ですが、村尾先生にその心意気やよし、と励まされたことを胸に、少しでもこの問題に近づけるよう日々研究を続けています。


さてせっかくの機会ですのでこの場を借りて最後に本学の宣伝をば。本学のキャンパスは十字の通路で仕切られ、間に4つの中庭を持ちます。そしてそれぞれ、春の庭、夏の庭、秋の庭、冬の庭と名付けられ、その季節にちなんだ植物が植えられています。『源氏物語』の六条院を模した作りなのです。私の研究室(2階)の窓からは冬の庭が見下ろせます。ひそやかな矜持を持った明石の君を思いながら、冬は窓を開けて窓辺に陣取り、下から立ち上ってくる梅の香を楽しみながら梅見をして風流人を気どっています。みなさんどうぞお近くにお越しの際は――とは気軽に言いにくい立地ではありますが、何かのご縁で群馬でお目にかかれたらうれしいです。


2021/6/3

二階健次さん


東京外国語大学大学院博士後期課程在籍

 私の専攻は16世紀前半に、下総国本佐倉で、衲叟馴窓という出自不明の歌僧が編纂した『雲玉和歌抄』の研究です。あまりなじみのない家集ではありますが、和歌に付された注記に注目すると、伝不詳の説話や物語からの引用、謡曲の詞章や蒙求の語りに基づく詠歌などがみられ、中世和歌史に特異な位置を占めています。特に、東常縁、木戸孝範、太田道灌など関東ゆかりの武士との交流は見逃せません。テーマはズバリ、「武士はなぜ歌を詠むか」です。私は、理系の大学から東京都の図書館に奉職し、定年退職を機に、慶応義塾大学通信学部で文学の学位を得、その後村尾研究室に飛び込んだ社会人経験者、しかも高齢者の院生です。余命幾許の中、戦国武士たちが明日なき命を無常の風に晒しても猶、陣幕で『源氏物語』を必死で読む姿に自分を投影しながら、研究書を読み漁っています。

2021/5/28

藤井嘉章さん

日本学術振興会特別研究員PD


 私は江戸時代の学者である本居宣長(1730~1801)の研究をしています。博士論文は「本居宣長の古典解釈研究―和歌解釈を通して」という題目のもと、「宣長はどのように和歌を読もうとしたのか」を明らかにすることで、宣長の考え方の「くせ」のようものを取り出そうと試みました。

 現在は文学領域の研究を主にしていますが、将来的には言語学や思想史にまで広がる宣長学の精髄、すなわち『古事記伝』の研究を通した宣長の思考様式の解明を目指しています。

具体的な教育研究の一覧に関しては以下をご参照頂けますと幸いです。

https://researchmap.jp/yoshiaki0708

2021/5/28

陳璐さん 

早稲田大学兼任講師

東京外国語大学博士。日本学術振興会特別研究員(2016-2018)、ハワイ大学客員研究員(2017-2018)。現在早稲田大学の兼任講師。専門は日本近世・近代文学・詩学・思想史研究。

 博士学位取得以降、更なる学術的レベルの向上を目指し、講義以外の時間を活用し、多方面の書物を読みあさっています。また、これと並行して専門分野以外の文書翻訳や対外的な社会活動にも参与し、私自身がパッションを感じる仕事に力を入れています。

 コロナ禍で出張や旅行も思うに任せずが、社会全体がテレワーク中心の生活タイルに変わりつつある中で、身心の健康を保つのも大事です。研究だけの人生を歩むのではなく、好みに合う仕事を選び、たっぷりと休みもとり、晴れ晴れとした気分で前向きに進んでいきたいです。


ー 画像は準備中です ー

2021/5/28

倪柳さん

東京外国語大学大学院博士課程単位習得済満期退学

 私の専攻は10世紀の仮名文学で,具体的にいえば,紀貫之の『土佐日記』研究です。

 博士課程では国文学における土佐日記研究の諸問題を勉強してきましたが,その後結婚・出産を経て,現在育児とコロナ渦が重なり,生活と学習環境が激変したため,『土佐日記』を母語である中国語に翻訳することに専念しています。研究対象の作品を母語に直す作業は,自分の想像以上に作品の精読再考に繋がりました。そして,『土佐日記』に対する視点も,研究対象から鑑賞対象へと変化した部分があるといえましょう。今後も,『土佐日記』を翻訳刊行する資格を得るべく研究実績を積み上げ,地道な研究活動を継続したいと思います。

 先日,NHKの「あさイチ」という番組で,「一花でも美しく,5月の光をいける」をテーマにした,華道のパフォーマンスを拝見しました。無造作に折れ曲がった流木に凛と立つ一本の白いお花,後ほど紹介されたその花の名前は,ジャーマンアイリスでした。私はお花に詳しくありませんが,紫色のジャーマンアイリスを見たとき,「これは,屏風絵に出てくる,かきつばた,要するに菖蒲ではないか」と思い,早速スマホで検索してみると,ジャーマンアイリスの学名はドイツアヤメでしたので,「やはりそうか,業平の名句が後世の屏風絵や蒔絵などの工芸品創作のモチーフになると同じように,お花も品種によって姿が少しずつ変わり,時代精神の変遷に伴いイメージも表現方法も異なるが,古今東西においても美に対する意識の高さは変わらないもので,人々の生活に織り込まれているんだ」なんて感心したりしました。

 このように,研究においても生活においても感性の働きを忘れずに,時の移ろいを見つめていきたいと思っております。


2021/5/27 

解放さん

東京外国語大学 国際日本学研究院 特別研究員

私は2021年の4月に博士学位をとり、現在は非常勤をしながら、次の就職先を探している最中です。博士学位があれば、すぐに理想のポストが探せると思っていた私の考えは非常に甘かったのです。従来軽視されてきた人文学において、コロナの原因でますます就職難の状況に陥っています。将来が不安の中、なんとか頑張って行こうと常に自分に語る中、この学位は確かに大きな慰めでありました。 中国には「人生不如意事十之八九」という言い伝えがあり、この言葉の意味にあるように、物事は大抵の場合、思い通りには行かないのであります。従って、我々はこのような社会に対応するしかないのであります。最後まで頑張りましょう!

2021/5/25

平原真紀さん

東京外国語大学 国際日本学部 非常勤講師

 5月25日に学内で、解放先生と共に祝賀会を開催して頂きました。私は、今年度も東京外国語大学で、特別研究員、及び、国際日本学部の非常勤教員としての日々を過ごしております。この研究会を通じて、世界中に飛び立った仲間や外大の後輩たちを、「文学」という絆で繋ぐお手伝いができたらと、心から願っています。最近は、近世江戸期における中国白話文学の受容研究の一つとして、唐通事とその教材に興味を持ち、調査しています。今後も、今まで以上にコツコツと、誠実に研究と向き合ってまいります。